東京鵬翼会 第11回講演会の結果報告
 
東京鵬翼会では、設立以来、大阪外国語大学同窓生を講師とする講演会を開催してきていますが、2010年10月2日(土)に、早稲田大学キャンパスの教室を借りて第11回目となる講演会を開きました。
 今回、講師としてお招きしたのは、阪外大中国語学科1984年卒で、現在、東京外国語大学総合国際学研究院教授をされている澤田ゆかりさんです。澤田さんは、香港や広東省など華南地域の経済が専門で、研究活動のため香港にお住まいのところ、国慶節のお休みを利用して一時帰国された機会に講演をして頂きました。
講演のタイトルは「華南の少子高齢化と社会変容」で、副題は“「老いゆくアジア」とリスク社会の言説〜香港の事例〜”でした。
 日本も含めて、アジア各国の高齢化現象が話題になってきていますが、香港や広東省なども決してその例外ではありません。澤田さんは、香港や華南地域でも少子高齢化社会の到来とともに、15歳から64歳までの生産年齢人口の減少、それと同時並行的に進行する独居老人の増加や高齢者の貧困化といった現象が大きな社会問題となりつつあることを、豊富な統計データと現地で見聞された具体的な例を挙げながら紹介されました。
 1950年代には、きれいなツリーの形を描いていた中国の人口ピラミッドも、高齢化や一人っ子政策による若年層の減少により、2050年頃には不安定な徳利型を描くようになるとみられます。普段、私たち日本人にとって、華南といえば労働力は無尽蔵で高度経済成長に沸くイメージしかありませんが、実際には様々な矛盾を抱えていることを理解した聴講者も多かったものと思われます。
なお、今回の講演には卒業後間もない若い人たちも互いに口コミや電子メールで誘いあい、大勢参加してくれましたので、全体では40名強の参加者となり、活気のある講演会になりました。

(以上)
以 上