東京鵬翼会 第10回講演会の結果報告
 東京鵬翼会では、設立以来、大阪外国語大学同窓生を講師とする講演会を開催してきていますが、2月17日(水)の夜には、第10回の講演会を早稲田大学キャンパスの教室を借りて開催しました。
今回の講師は、現在、早稲田大学国際教養学部准教授をされている阿古智子さんにお願いしました。昨年9月、新潮社から出版された著書『貧者を喰らう国』を題材に、改革開放で経済的に急成長を遂げている中国の負の局面について、実際に農村部や都会の底辺に入り込んで調査された内容などをもとにお話しいただきました。

中国は、昨年建国60周年を盛大な市民・軍事パレードで祝い、いまや外貨準備高は世界1位、名目GDPでも今年は40数年間世界2位を維持した日本のそれを上回ることが確実視され、株式市場の売買高でも日本を上回るなど、米国と並んで“G2”と称されるほどにまで大躍進を遂げています。しかし、いっぽうで貧困や格差、汚職・腐敗といったマイナス事象も同じようなスピードで進行しています。共産主義の理想を掲げた中国でなぜそのような現象が起きているのか? 売血エイズ感染者、貧困農民、出稼ぎ農民工など貧困コミュニティーに入り込んで調査・研究された阿古さんの体験談をもとに、格差社会の実情の一端をうかがい知ることができました。
今回の講演会には、最高齢1934年卒業生から最年少2004年卒業生まで実に70年の幅のある会員40名近くが出席し、盛況と熱気で教室が狭く感じるほどでした。

なお、大阪外国語大学同窓生の有志で作っている『大阪外国語大学同窓文人倶楽部』(代表:中空善彦様)では、毎年1回、大阪外国語大学(大阪外国語学校、大阪外事専門学校を含む)に、期間を問わず、籍を置いた者(学生、教員、職員)が出版した書籍を対象に、文人倶楽部大賞と文人倶楽部ノミネート賞を選定して表彰しています。今回、2009年度の大賞に阿古さんの前述の著書が選ばれました。これらの賞は世界各国及び地域の言語や文化に係わるもの、国際理解を促進するもの、等々の大阪外国語大学精神に溢れたものに与えられるものです。表彰式は6月12日の咲耶会東京支部主催ビヤーパーティの席上で行われます。

以 上